主流市場はいずれも圧力にさらされ、新興市場には軒並み課題が存在するこれが2026年上半期におけるブランドの海外展開の実態である
まず主流市場を見てみると、欧州では冷蔵・洗濯の二大産業において販売量は増加するものの、収益は減少しており、価格競争は一段と激化している北米では大型家電の需要が小幅に低下し、消費者信頼感は過去5年間で最低水準にまで落ち込み、耐久消費財の買い替えペースも引き続き鈍化している
一方、新興市場では、南アジアや東南アジアなど各地域で成長は見られるものの、輸入インフレの影響を受け、購買力は予想を下回っている
こうした状況下、8月27日、ハイアール・スマートホームは2026年上半期決算を発表した報告書によれば、同社の売上高は1,521億1,500万人民元、親会社株主に帰属する当期純利益は103億1,600万人民元となったそのうち第2四半期の売上高は784億2,800万人民元で前年同期比136%増、親会社株主に帰属する当期純利益は56億6,500万人民元で前四半期比2178%増であった
海外市場においては、ハイアール・スマートホームは上半期、主流市場で業界平均を上回る成績を収め、新興市場では二桁成長を達成した具体的には、北米市場では業界および競合を凌駕し、米ドルベースでも第2四半期にプラス成長を実現欧州市場では売上高が前年同期比49%増加南アジア市場では、インドとパキスタンという二大主力市場においてそれぞれ20%、30%(現地通貨ベース)の増収を記録し、業界平均を大きく上回った東南アジア市場でも売上高は二桁成長を遂げた
こうした逆風の中での成長の背景には、ハイアール・スマートホームが主流市場において「国別現地化+グローバル化の双循環」を目指したグローバルサプライチェーンの再構築を加速させ、持続的なグローバル展開を推進し、世界規模での能力統合を図ってきたことがある同時に新興市場でも事業展開を一層強化し、四網体系の高度化とECチャンネルの転換を着実に進め、末端接点ネットワークの整備に投資を拡大することで、販売費および管理費の効率化を実現したさらに、ブランドマーケティングへの投資も拡充し、スポーツイベントへの出資を強化して海外におけるブランド認知度の向上を図っている
二つの戦略的アプローチ:主流市場では“減法”、新興市場では“加法”
市場はまさに戦場であり、無謀な大量展開よりも適切な戦術選択こそが重要である市場ごとに消費環境や競争構造は異なり、一つの策を万能とするわけにはいかないそのため、欧米の主流市場ではハイアール・スマートホームは高級路線を採用し、“減法”を徹底多種多様な製品ラインナップを広げず、ホライゾン冷蔵庫や三槽式洗濯機といった高級ヒット商品に資源を集中させ、ユーザーにワンストップで満足できる選択肢を提供している一方、南アジア、東南アジア、中東・アフリカなどの新興市場では、スマートテクノロジーによる“加法”を重視基本的な使用体験に加え、AI省エネやスマート鮮度保持などの先進技術を搭載し、現地ユーザーに期待を超える生活の変化をもたらしている
現在、ハイアール・スマートホームの数々の高級ヒット商品は欧米各国で好調に売れ続けているホライゾンの大容量マルチドア冷蔵庫は欧州市場に投入後、同ブランドの高級マルチドア冷蔵庫シェアを倍増させる原動力となった三槽式洗濯機も欧州諸国のユーザーから高い評価を得ており、イタリアでは千ユーロクラスで最も売れているモデルとなり、スペインの高級チャネルECIによって分類洗濯専用の高級展示エリアに配置されるほどだ上半期時点で、ハイアール・スマートホームの欧州全体の売上高は49%増加し、冷蔵・洗濯部門の主要市場におけるシェアも着実に拡大している北米ではGE Appliancesの主力家電シェアが伸び、収益性と収益面においても業界トップの地位を維持している
新興市場においても、ハイアール・スマートホームが生み出した各種スマートヒット商品は現地ユーザーから絶大な支持を得ている例えば南アジア市場では、AI省エネ機能とHCS鮮度保持機能を搭載した新型660冷蔵庫が発売直後に爆発的な人気を集め、最新モデルの全自動洗濯機は46%の増収を記録した報告期間中、ハイアール・スマートホームの南アジアにおける売上高は18%増、利益は33%増となったなかでもインド市場では売上高が10%増加し、過去5年連続で市場トップの座を守っているパキスタン市場でも売上高が30%増加し、11年連続で市場首位を維持している
戦略の背後にあるもの:包括的な能力を海外に根付かせ、現地化された運営体制を構築する
成熟市場での高級路線にせよ、新興市場でのスマート化にせよ、現地に即した戦術はあくまで表面的なものにすぎないブランドのグローバル化において真に避けて通れない核心は、能力のグローバル化であり、現地にしっかりと根を張るためには、現地化された運営体制の確立が不可欠である
多くの海外進出企業が単に商品を海外へ売り込むだけで、産業関連のサポート体制は国内に留めたままの場合、ハイアール・スマートホームは販売、調達、研究開発、製造など十項目に及ぶ主要な能力を全世界へ持ち込み、現地に物流・サービス・マーケティング・情報の「四網一体」型運営ネットワークを構築している
東南アジア市場を例に取ると、物流とサプライチェーンの面では、タイに春武里空調工業園を建設し、その生産能力は東南アジア全域に直接波及している「現地製造・現地配送」により、物流コストと納期の改善が顕著に見られるだけでなく、現地部品サプライチェーンとも連携し、注文ニーズに迅速に対応できる体制が整っている
サービス面では、東南アジアにおける350の顧客接点が標準化を完了し、オンラインAIカスタマーサポートが24時間体制で対応、オフラインでは5Sサービスモデルを導入して販売前からアフターサービスまでを網羅しているマーケティングは「一地域一政策」を徹底し、タイでは現地のスポーツイベントと連動して小売店頭を活性化、マレーシアではサッカー大会を契機に販売促進を行い、現地の消費層にきめ細かくアプローチしている情報面では、デジタルプラットフォームを通じて市場需要をリアルタイムでモニタリングし、ECチャネルでの需要増加を察知すると、直ちにEC専用モデルを投入して、最終的にカテゴリー首位に躍り出るという成果を上げている
今後の世界市場においても、変動と分化が依然として大きな潮流となる海外での成長は、貿易による短期的な販売拡大だけでは実現できないグローバルな能力と現地化された運営体制を基盤としてこそ、長期的な成長の可能性が拓けるのだ自らの能力を現地の産業生態系や生活シーンに深く浸透させることができる企業こそ、周期的な市場変動の中でも高い弾力性を保ち、より広い成長の余地を開いていくことができるだろう